【車買ってみた②】アメリカでインド人のディーラーから車を買った話
こんにちは。
前回の記事で、アメリカで車を買う時のポイントというか注意点についてお話しましたが、今回はそんなことよりこんなこと!
私が実際にアメリカで、それもなぜかインド人のディーラーから車を購入したお話をしたいと思います。
まず、前回記事の反省を踏まえ(買おうと思っていた車が先方の書類不備で購入できなかった)、ホストファザーがFacebookやcraigslistを使用して見つけてくれた候補が以下の2つ。
①2008 BMW 328xi
Craigslistで見つけたこちらの車。
いきなりBMWってばかなの?本気なの?と思いますよね。まぁこれはあれです、なんていうかそのホストファザーと私が乗ってみたかっただけです。冷やかし8割。
あと安かったから(そんなスーパーのお惣菜コーナーで見つけたみたいな言い方)
まぁ人生で左ハンドルのBMWに乗れることなんてそうそうないですからね。
売り主との簡単な自己紹介と最初の顔合わせだけホストファザーに立ち会ってもらい、試乗は売り主と一緒に近所を走りました。
※この時、絶対に家の前で一人で待ち合わせしないようにしましょう。私は自宅近くのスーパーの駐車場でホストファザーに立ち会ってもらい、帰りもそこで車を降りて売り主とさよならしました。家バレ防ぐの大事。絶対。
このBMWの売り主はウズベキスタン人の青年で、結婚して子供を授かったもののこの車だと後部座席にチャイルドシートを取り付けることができず、もう少し大きい車に買い替えたいから売ることにしたとのこと。
信頼できる車なのか、やましいことがないかどうかを確かめるためにも、このように「なぜ売りに出すのか」という理由を聞き出せるようであれば聞いてみてもいいと思います。
いざ乗ってみたBMWはというと…
た~のし~!!!!!!
ドイツ車ってすごく堅牢な造りのイメージがあったのですが、イメージ通りカッチリと、でもスポーツカーらしく加速がぎゅいいいいいん!!!って。
これめっちゃかっこいいやつじゃん。
しかしサイドブレーキとギアの操作性がカッチリしすぎていて、左ハンドルだから聞き手の右手、つまり握力のある方で握るわけになるのですが、シフトチェンジがひと苦労というか。
まぁつまり私にはちょっとかっこよすぎた(というか単に不釣り合いだった)んですね。あと万が一事故ったり修理が必要になったときのメンテナンスにかかる金額がえぐい。えげつない。
それから、売り主が今日明日にでも売りたい!と急いでいたのですが(安かったのはこれが理由)かたや私はディーラーに持ち込んで車検してから買いたいという姿勢を崩さずにいました。
結果的にやり取りにしびれを切らしてしまったのか、もう待てないという事でそのお話はなしになりました。まぁでもよかったです、楽しかったので。
②2011 Honda Civic LX Sedan
次にFacebookで見つけたこの車。結果的にこれが今の私の車になるのですが、この売り主のインド人が今回、私の対戦相手(?)です。
前回同様、試乗と車のコンディションを確かめるべく売り主にアポを取り、ホストファザーとともに再び近くのスーパーの駐車場へ。
日本車専用のディーラーをしているというインド人の彼。名前はなんか長いやつだったので仮にムンバイとする。以下ムンバイ。
Civicの中から颯爽と現れた、ラッパーみたいな出で立ちの男。
うわぁ、オーバーサイズの派手なパーカーにきつめの香水。
え、めっちゃ首から金の鎖みたいなネックレスぶら下げてる…
あと曇ってるのにサングラスしてる…
強め。
アメリカらしくHow's going?で始まり、自己紹介がてら握手を求められるホストファザーと私。
ホストファザーはザ・アメリカ人。初対面の人とも難なく話すことができる陽キャラなので、にこやかに挨拶を交わしています。
アメリカに来て以来、本当にいろいろな意味でいろいろな人がいるということを日々実感している私もそれに倣い、戸惑いつつも笑顔で挨拶。
タイヤやスクラッチ痕など、車本体に目に見えるダメージがないかを確認した後
Have fun!!
そういってホストファザーは一人で家に帰ってしまいました。
え、私ムンバイと二人きりで試乗すんの?めっちゃにこやかだけどサングラスのせいで目の奥が見えないよ。あと繰り返すけど曇ってるからサングラスいらないと思う。これが合コンだったら二人きりにしたホストファザーのこと絶対恨んでるし、あとでめっちゃLINEするやつだよ。
とかなんとか思いつつ、試乗がしたいと呼び寄せたのはこっちなので仕方なく運転開始。
車は2011年式なのでナビもついていなければオーディオもしょぼしょぼ、エンジンもプッシュ式ボタンではなく鍵を差し込む懐かしのスタイル。
ハンドルやエアコンの塗装がところどころ剥げているのが気になりましたが、走り出す感じやブレーキのかかり具合など操作性には全く問題なさそうです(というかあったらやばい)
個人的には速度が表示されるメーターパネルがデジタル(数字で表示されるタイプ)ではなくアナログの方が好みなのですが、デジタルも意外と分かりやすくて悪くないかもしれない。
などと思いながら運転しているとムンバイがトークセッションを仕掛けてきます。
いつからここに住んでいるのか。学校ではどんな勉強をしているのか。
走りながら身の上話を聞いてくるムンバイ。
めっちゃ私の運転を褒めてくるムンバイ。
怪しい。絶対騙されない。
これは私の偏見でしかないのですが、インド人は数字に強くて交渉力に長けている人が多い印象がありまして。
そして聞かれてばかりではフェアでないと思った私もムンバイに質問します。
自分は私と同じく、留学生としてアメリカに来たこと。大学を出たあとに運転手をやって、その後車の整備を勉強し直してこの町で日本車を専門に取り扱うディーラーをやっていること。
この車はもともと、普段はテーラー(ややこしいな)をやっている弟のもので、彼が車を買い替えるにあたり代わりに自分が売りに出しているということ。
弟の大事にしているものだから、信用できる人に売りたいということ。
あと1年この仕事を頑張って続けて、貯金が目標金額まで達したら彼女と結婚したいと思っているということ。
え、なになにめっちゃ喋るじゃん。しかも見た目の割に結構いいやつじゃない…?
いやでもまだ分からない、いいやつのフリしてるだけかもしれない。
首から下がっている濁った金色のくさりかたびらがいつ本領発揮するか分からないので、刺激しないように慎重に会話を繰り広げます。
結局その日はFreeway(高速道路)と一般道の両方を試乗したあと、必要書類が揃っているかどうか確認するためムンバイのディーラーと併設されたオフィスへ向かいます。
それから、車の状態をより詳しく見たいので、ここではなくHondaの正規ディーラーに持ち込みたい旨を伝えます。
ていうかここもディーラーじゃん、ディーラーであるムンバイにお前んとこじゃない車屋さんに見てもらうわって言ったらキレられるかな?と思ったものの、あっさりOKしてくれました。
まぁ彼が自分で直して彼から買うのと、第3者に見てもらってから買うのでは信用度が違いますからね。直したって言って実は「自称直した」だったら困りますからね。
どこまでもムンバイを信じようとしない私。
車検に持ち込む日程を決めた後、ムンバイが思いがけない言葉を発しました。
「今この場で2万円くらいデポジットしてくれたらこの車を君に売買確約したい」
は?デポジット?
…どうやら「ほかにも買いたい人が出てきた場合、その人にも車を見せることになる。もしその人がその場でこの車を買いたいといった場合、君からデポジットをもらっておけばその人に売らなくて済むから」ということらしいです。
要は前受金ってことらしいんですけど、車を買うにあたって一応いろいろと予習した中で、前受金なんてシステム、聞いたことない。
やっぱりこいつ怪しい…!でたよインド人!交渉してきたよ!(偏見)
お金のことだから、一回ホストファザーに電話していい?と一言添えて即ファザーに電話。
私:なんかデポジットしてって言われたんだけど、どう思う?払わなくていいよね?
ファザー:Oh~それは聞いたことないね~ほかにも購入したい人がいるって揺さぶりかけたいだけかもしれないし、万が一払った後にやっぱりやめますとなった場合にお金が返ってこなくなったりしてトラブルになったら困るから、今は払わなくていいよ~
私:だよねそうだよね、じゃあ「今すっごいお金ない人」っていう設定で行こうと思う!(お金ないのは事実だし)
ファザー:OK~Good Luck!!
…あのねムンバイ、私この車めっちゃ興味あるんだけど、今すっごいお金なくて。
私は学費を自分で払っていて、車の購入をするために日本にいるお父さんとお母さんが少し資金を援助してくれることになっていて、今その送金を待っているところなの(※これは事実)
だからデポジットはできないんだけど、この車を購入する前提で正規ディーラーに持っていって車検をしようと思っているから、デポジットなしで仮押さえしてくれたらめっちゃ嬉しいな~。
と、今すごくお金に困っている人全開でムンバイに交渉。
するとなんと、
ムンバイ:OK!
という返事が。なんなの。言ってみただけかよ。
ていうかこの場で2万円も払えないやつが車を買おうとしていることにはつっこまないんだなと思いつつ話を進めると、正規ディーラーにも同行してくれる上に、今からさっき会った私の家の近所のスーパーの駐車場まで送ってあげると言われました。
えーそれは悪いよ(怖いよ)と思って渋っていると、なんとムンバイの彼女登場。
ムンバイいわく「彼女に送らせるから大丈夫」とのこと。
えーどこら辺が大丈夫なのかよく分からない。
ていうか家族ぐるみでプレッシャーかけてくるの怖いよ。仕込みか?
と他人の好意を素直に受け取れない私は戸惑いつつも、ムンバイとムンバイの彼女の好意に甘えることに。
結果、普通にいい人でした。
ムンバイといつ結婚するの?って聞いたらめっちゃ照れてた。可愛い。
あーこれはなんか、普通にいい人なのか、普通にいい人だよというアピールをして警戒心を取っ払いに来ているのか、もしくはその両方なのかな?などと勘繰りつつ、ホストファザーに一連の出来事を報告。
ファザー:まぁ悪くないんじゃない?あとはHondaでの車検の結果次第だね~
安定のイージーゴーイングなファザー。
ということで迎えた車検の日。
二度目の試乗も兼ねて、ムンバイが近所のスーパーに迎えに来てくれるということで再び待ち合わせ。
ムンバイ:Hey ちゃんあや!How's going?
私:やっほー!(出たよまた金のくさりかたびらしてるよ…)
車内ではまたムンバイがああでもない、こうでもないと話しています。
やっぱり日本車は最高だし、日本人は一番丁寧に乗ってくれる、日本人が一番売りたい相手だね!
とかなんとか言ってくるので、持ち上げるのが本当に下手くそだなぁ。と思っている間にHondaの正規ディーラーに到着。
2時間程度で終わるとのことで、近くのカフェでも行って時間をつぶそうかとも考えたのですがめぼしい場所がなにもなく、めでたくムンバイと一緒に2時間暇つぶしをすることに。
ムンバイ:暇だからチェスやらない?(アプリを見せながら)
私:ごめん、ルールわかんないんだよね~
ムンバイ:OK!ところで彼女を連れていつか日本に行きたいんだけど、行くならいつがいい?
私:やっぱ春じゃない?桜とか綺麗だよ。
ムンバイ:だよね~桜めっちゃ見たいわ~ところでお父さんとお母さんからお金は無事に届いた?
私:まだなんだよね~ちょっと時間かかってるみたい(※これも事実、嘘じゃない)
ムンバイ:日本からだからね~大変だよね!ちゃんとご飯とか食べられてるの?もしよかったらランチくらいならごちそうするし、何ならいくらか必要だったら貸そうか?
僕はちゃんあやのこと信用しているしもう友達だと思っているからね、この車を君に売りたいと思っているし、車の件がなくてもなんか困ったことがあったらいつでも連絡してって思っているよ!
…なんか普通に友達になったらしいです。私たち。
あと完全に自分のせいなんですけど、「今日食うにも困っているやつ」みたいになってしまってすごく不本意だったし、みじめでした。
車検でも特に大きな異常は見当たらず、ハンドルのステアリングだけ直した方がいいがあとは特に急いで修理する必要はないとのことで、ステアリングの修理を取り付けてさぁ帰ろうというところ。
ムンバイ:ところでデポジットする?
いやだからしないって。車売ってくれるんじゃなかったっけ。なんなら私たち、友達じゃなかったのかよ。
私:ごめんお金ないんだよね…あとステアリング直すのにお金と時間かかるから、その分本体価格値引きするっていうのはどうかな。きりよく〇〇〇〇ドルでどうかな。(ちょっと値切りすぎたかな?)
ムンバイ:OK!じゃあその価格で行こう!友達だからね!
いいのかよ。相変わらずあっさりOKするなあ。
もうなんなの本当よくわかんないなと思いつつ、値切り交渉にも成功し、必要な書類の届け出もすべてムンバイにやらせ、めでたく納車となったのでした。
ちなみに前回の記事で、私が車を買うにあたって定めた基準
①年式
②マイル
③価格
④クリーンタイトルがある
⑤購入前に車屋さんもしくは正規ディーラーへ持ち込む
この5ヵ条についてお話しましたが、購入後タイヤをよく見るとホイールの内側が若干サビていることに気が付きました。
それからワイパーのブレード、ゴム部分が若干痛んでいて数か月後にゴム部分だけ取り換えたので、タイヤやワイパーなどの消耗品系は購入時に「最後にいつ替えたか」注意深く確認した方がよさそうです。
ワイパーのゴムは数千円で交換できましたし、タイヤは交換しませんでしたがアメリカだとタイヤ交換は2本2万円ちょっとくらいでできるので、日本よりは安上がりだと思います。
とはいえ決して安くない買い物、売る時のことも考えて良い状態で購入したいので、しつこいくらいにいろいろなことを確認したほうがよいです。
結果ナメられずに済みますし、ついでにお友達もできるかもしれませんからね!
…以上アメリカでインド人のディーラーから車を買った話というか、インド人とお友達になった話でした。
これから車を買う方、すでに運転されている方、くれぐれも安全運転に気を付けてカーライフを楽しみましょう!
追記
…この購入から1か月後、バックをミスって左後部を木にぶつけました。
パーツ屋さんに行って見積もりを出してもらったところ、10万円以上かかるとのこと。大金を払ってまで直すに値しない傷だったのでそのまま放置しています。
ムンバイには連絡していません。
おわりー!